2SACDプロコフィエフの名作二重奏ソナタ(ヴァイオリン版、フルート版聴き比べ)

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ロシア革命を逃れて西側でコスモポリタンとして大活躍した未来派、アヴァンギャルド(生まれは現ウクライナ、日本にも来ています)。

しかし、故郷に根ざさなければ音楽が枯渇するとして、何と、恐るべき恐怖政治のスターリン統治下のソ連復帰の道を選んだピュアな芸術家セルゲイ・プロコフィエフ。

恐竜の娘が弾く音楽などと揶揄されながら、ディアギレフと組んで前衛的な音楽を書き続けていた時代を経て、ソ連ではより音楽を深め、ヒューマニズムや清冽な叙情が前面に出た名作バレエ「ロメオとジュリエット」「シンデレラ」、交響曲でも「第5」などが戦争終結の象徴のように祝典的に演奏されるまでになり、新しい世界を切り開きました。

これらの作品は戦後の日本の作曲家たちの規範の古典となっていきますが、プロコフィエフ自身の健康は優れず、1953年に61歳で亡くなってしまいます。

プロコフィエフの作曲の頂点のひとつが戦争と重なっていて、研ぎ澄まされた3曲のピアノ・ソナタ「戦争ソナタ」と共に、恐ろしく内容の濃い二つのヴァイオリン・ソナタが書かれました。

これらの作品は完成度が高く、メロディも美しく、たちまち二十世紀を代表するヴァイオリン・ソナタとして広く普及、様々なヴァイオリニストが演奏し録音しています。

第1番は暗い情熱がたぎり、第2番は平明で歌謡的ですが、こちらは原曲はフルート・ソナタでした。

静けさの中から立ち上るピアノとヴァイオリン、またはフルートの対話や余韻、素材の味わいなどを鑑賞するのに、SACDというハイレゾフォーマットが活用されるのは嬉しい限り。

ヴァイオリン版は日本の期待の星、三浦文彰がギトリス、ヘンデルといった大家との共演で名高いイタマール・ゴランと作り上げた、素晴らしい集中力と美音で聴かせる名盤。(甘美なタイスの瞑想曲も併録)

フルート版は巨匠ニコレに教えを受けたシャロン・べザリーのフルートと、日本にも毎年のように訪れてくれる人気ピアニスト、ロナルド・ブラウティガムの共演で。
これまた、切れ味のある美音。
ジャケ写も素敵。

こちらは、シューベルト熟期の名作にして、ロマン派最高のフルート曲「しぼめる花の変奏曲」(歌曲集、水車屋の娘の主題のもの)やデュティユー「ソナチネ」やジョリヴェ「リノスの歌」といった二十世紀フランスの傑作も併録。

自宅保管レベルですが、盤面良好です。